『ぼくらは青年探偵団』
作者:まつざきあけみ 掲載:「ALLAN」昭和55年10月〜連載休止中?
「ねぇねぇ、こんなのあるんだけど」 高校2年のある日、このHPの「乃生ちん」のページにも登場している 親友のNちゃんが、1冊の本を学校に持ってきました。
ちなみにこのNちゃん、今はすごい人になっていて、名前を出せば わかる人にはわかってしまう人になっています。 でもあえて出さないけどね〜(笑)。
それはさておき、その本は、Iちゃん、Yちゃんなどなどのあいだで 回し読みされ、私のところにもすぐ巡ってきました。
見ると、作者名は「まつざきあけみ」さん。
えええ?!超〜〜〜〜〜〜〜なつかしいじゃん!!!!! よく保育園のころ「なかよし」を姉から借りて読んでたよ〜。 「ごきげん?アピ」「こしゃくなムッシュー」「ガラスのアンジェリアン」 単行本も持ってるわよ〜〜〜〜。 キレイな絵柄だったな〜〜〜。 あの当時の「なかよし」で誰より画力あったよな〜〜〜〜〜。 今も描いてるんだね〜〜〜!!
とか何とか思う間もなく、その本はNちゃんから、 「何か知らないけど、お姉ちゃんから借りてきた。 何か知らないけど、これどうかと思って」と、すぐに私の手元に。
NちゃんはAB型のせいか、ちょっと変わった子でした。 「何か知らないけど」といっては、いつもいつも、 「何だかよくわからないけど、何か変わったもの見つけたから、 これをみんなに見せたら面白いんじゃないか・・・」という、 ふとした思い付きだけで「何か」を持ってくるのです。 歌舞伎のファンクラブの写真なんかも見せられたことがあります(笑)。 たくさんのおばさんたちの中に、高校生女子・Nちゃんがそこにポツンと 一人だけ笑顔満面で役者さんのとなりで写っていたりするわけです(笑)。
で、この本も、このテイストが彼女の趣味なのかどうかは知りませんが、 おそらく面白そうだから、という理由だけで、もってきたのではないかと。
見ると、タイトルは、「ぼくらは青年探偵団」。 わかるように「ぼくらは少年探偵団」のパクりかと(笑)。
もう、私はすぐにその「まつざきあけみ」という名前の懐かしさだけで、 その本を読み始めました。 しかも授業中に(笑)。 たぶん、一番ニガテだった世界史か、漢文の授業あたりではないかと 思います、そんな事をしていたのは(←だから余計ニガテになるんじゃ)。
読み始めたら・・・・・・・・・・・・・・・なんじゃこりゃ?(謎)。 なんじゃこりゃ・・・・・・・・・・・・・・・・??????(笑) なんじゃあコリャああああ〜〜〜〜〜!!!!!!(爆)
ぜんっぜん「少年探偵団」と違うじゃん!!!!!!!(爆爆爆!!)
も〜〜〜、あまりの面白さに、笑いをこらえるのが大変でした。
これはおそらく、宝島の「VOW」あたりにハマったことがある人ならば、 きっとハマること請け合いです。 最初は「んんん!?」と思うんだけど、すぐ「クスッ」となって、 そこからドツボにハマっていく・・・そんな漫画です。 最初は「ゲッ!?」と思う人でも、3回くらい読み返すか、 80ページ目あたりまで読んでいくことができれば、もう大丈夫。 めでたく「青年探偵団読者」の仲間入りなのでーす。パチパチー。
こんな作品にハマっている自分、ヤバいんじゃないか?! そんなことを考えているようでは、規律厳しい国学院高等学校生活など、 まともに送れないのだよ。チッチッチッ。
このころ、「なかよし」「リリカ」を経て、まつざきさんは「JUNE」などに もう活躍の場を移していたらしいのですが、 この作品はさらにそのあと「ALLAN(アラン)」という雑誌に移ったときに 描いていたようです。
内容の中に、マタマタ(亀の仲間?)が出てくるのですが、 どけち探偵たちに「私たちのことを知っているのか!」と聞かれて 「えぇ。『ALLAN』は1号からバッチシ!☆」とかいいながら、 そいつは『JUNE』を抱えていて、「←イヤミなやつ」と、 余白に、まつざきさんの皮肉のジョークが書かれています(笑)。 何かの経緯があってJUNEからALLANに移られたのでしょうか。
私はこの「ALLAN(アラン)」という雑誌を見たことすらないのですけど、 ちょっと調べてみたら、 「月刊OUT(←えーん、知らない(^^;))」という雑誌の増刊号として、 「JUNE」のライバル誌のように発行された、ややサブカルチャー的な 要素も含んだ「耽美派少女のための雑誌」だったようです。
・・・うーん、この時点で私の趣味からは大きく離れるな〜(笑)。 だから見たことなかったんだわ(笑)。
で、この「ぼくらは青年探偵団」は、その中で連載していたものでは ありますが、単行本によると、そもそもは、 まつざきさんとファンの同人誌「ファンシエット(ファンシェットという場合も あり)」で連載していた作品のダイジェスト版なのだそうです。へぇ〜。
ちょっと調べてみたら、まつざきさん命!みたいな漫画同人さんたちが その同人誌に耽美的作品を投稿しまくっていた様子。 ふーん、楽しそう。 この「ぼくらは・・・」の初期に一緒に描いていたらしい中川さんという方も そのメンバーのお一人なのでしょうかね。 まつざきさんのアシスタントをされた中では有名なかたらしいです。
まぁそれより、ファンシエット!!! この言葉も懐かしいです。 これは、「なかよし」でまつざきさんが描いた名作「星への階段」の 中に出てくる、妖精の名前なんですよね〜。 「星への階段」、好きな作品です。 みなしごで、拾ってくれたジュゼッペじいさんも死んでしまい、 使われていない灯台に一人で暮らす、気立てのいいマルロ少年が、 ある日、ワガママで足の不自由な美少女・メルローズと知り合い、 彼女と親しくなるうちに彼女の両親にも気に入られて、 彼女の父親が「パリへ来てマルロにも学校に通わせてあげよう」、 と言い出してくれ、ようやくマルロにも幸せが訪れたと思ったら・・・・・。 と、内容は切ないんだけど、マルロ少年は健気でいい子で可愛いし、 何よりまつざきさんのペンが一番冴えていたときで(ワタシ的に)、 どのコマも、まるで映画のように抜かりなく細かく描き込まれて、 ストーリーも読み応えがあります。 原作は香田あかねさん(何度も出てますが、名木田恵子さんね)ですが、 きちんとまつざきさんのカラーが出ている傑作だと思います。
で、とりあえず「ぼくらは青年探偵団」に話を戻すと、 何が面白いって、こんな漫画、世の中にあっていいのか?! ・・・と、「少女漫画(?)」の無限の可能性を、大いに見せつけてくれた 作品だってとこです。
まぁ知っている人から見れば「これを受け入れられる人って、 BLやオカルトも好きなんだろうな」と思う人も多いかもしれません。
しかし、ここでひとこと言わせていただきますと(←何をエラそーに)、 私は今まで、BL雑誌も、ホラー雑誌も、一度も買ったことも読んだことも 無いのですっっっ!!!
しかし、この作品は話が別(笑)。単純に面白かった(笑)。 Nちゃんが校則違反を冒してまで(笑)学校に持ってくるということを しなかったら、永遠にめぐりあっていなかったであろう作品です。 (いや、いずれ知ったかも。まつざきさんファンなら)
それにしても、よく荷物検査がなかったよね〜〜あの日は。 ラッキーね〜〜〜、Nちゃん!! 担任のあっちゃん先生からならすぐ取り戻せると思うけど、 松島先生あたりに渡ってしまったら、なかなか取り戻せないわよ〜〜〜。 でも、坂島先生に渡ってたら、私が取り返してあげたわよ(笑)。
それはともかく、私にとって、それまでのまつざきさんのイメージといえば、 とにかく絵が上手くて、耽美的で、大人っぽくて、 おフランスな雰囲気で(笑)、その描線やカラーは芸術に近く、 作風のほうはというと、シリアスなものは子供には難解で、 コメディになるとロマンチックで、ちょっとシュールでおしゃれ。 そんなイメージでした。
作者さんご自身も、きっとアーティスティックに違いない。 ゴージャスで、近寄りがたい雰囲気もあったりして・・・。
それをいともあっさりと一蹴してくれたのがこの「ぼくらは青年探偵団」。 いい意味で、まつざきさんを一気に身近に感じることが出来たのでした。 (まぁ振り返れば「ゆうれいにプロポーズ」とかも、昭和ムードありありの、 庶民的な話ではあったのですけど。←これも原作は香田あかねさん)
さてさて、そんな「ぼくらは青年探偵団」。 内容は、といいますと、時代は1960年という設定。 昭和30年代なのですね(実際描かれたのは昭和55年〜らしいですが)。 足立区加平1丁目にある「どけち探偵事務所」を舞台に、 所長(先生)のどけち・こるねいゆ探偵、彼を慕う団長の小林くん、 そして、他の数人の団員たちを巻き込みながら、 かなりの清貧生活を送りつつ、ある事件を解決すべく奔走する・・・ というのが、当初のストーリーの主軸(?)でした。
が、だんだんその辺はどーでもよくなってしまい、 途中からは何がなんだかわからない展開になっていきます(笑)。 やりたい放題、無法地帯、遊び心満載、って感じの漫画ですね。 時代設定も、いきなり普通に昭和59年ごろになったりしてるし(笑)。
(が、何と!この「ぼくらは青年探偵団」、まつざき先生ご本人によると、 手塚治虫賞に推薦されたことがあったそうです!! びっくり!!!!!!すごーいっっっ!!!!!!!!!! まぁ〜、以下を読んでいただければ、その内容の濃密さ& 緻密なストーリー構成からして、納得の部分もありますね〜)
初回は、「快人二十面相参上!」というタイトルの通り、 一応、快人二十面相という敵が現れます。 「怪人」じゃないのがミソ。 彼は、美少年ばかりを襲う、アブない美形の悪者なのですが 百人目のごちそう(?)として選んだのが、大金持ちの成金・野比家(笑) の一人息子・ノビ太でした。
息子を狙うという予告状を受け取った成金・野比家の主人・ ドラえもん(顔が(笑))は、どけち探偵たちに、 息子・ノビ太の身辺警護を頼むのでした。
もうこの4〜5ページあたりで、この作品がいかに意味不明なのか、 何となく予想がつくでしょ(笑)。 マジメに書いててもさっぱりワケわからん(笑)。
ガウンを着た成金野比家の主人の顔はドラえもんそのもの。 そしてその息子・ノビ太は、長髪の絶世の美少年(笑)。 しかも、家に仕えている使用人は「いがわくん」=野球の江川選手の ソックリさん。何か聞いても江川選手のセリフで答えてきます。 なんだこれ(笑)。
この当時、まつざきさんが「ドラえもん」にハマっていたため、 ドラえもんは、何かのキャラで出したかっただけだそうです(笑)。
で、この物語の内容をダラダラ書いていくとキリがないので サッサとはしょってしまいますが、 結局、ノビ太はまんまと快人二十面相にさらわれてしまいます。
いやちがう。さらわれたっていうか・・・ なんと、ノビ太ってば、二十面相に惚れてしまうのです(笑)。 「僕はもうあなたと離れられない。すべてを捨てます。 ドラえもんフェイスの父も」←あはははーバカなセリフ。 こうして、男同士の愛が生まれたのでした(笑)。 しかも、なぜかこのあと登場するたびに、ノビ太は女言葉に なっていく(笑)。
身辺警護を頼んでいたのに息子をさらわれ、 探偵団の無能ぶりに怒り狂うドラえもん主人でしたが、 頼りないどけち先生を守ろうとする小林くんたちの熱意に感動した、 前述の使用人・いがわくんが、 「黄金の像で二十面相を釣る事」を提案。
二十面相がどうやってその計画を知ったかわかりませんが、 何のやり取りもないままに、なぜか彼は、 それを「小林くん」に運ばせるよう、またも予告状を送ってくるのでした。 (しかしこの黄金の像は、黄金のゾウとなって、返される(?)結果に。 こうして、二十面相と青年探偵団たちのじゃれあいは、当分 続いていくのでした)
まぁ、つまりはこの小林くんも、美少年なのですね。 二十面相は小林くんもターゲットにしていて、ことあるごとに 狙ってくるのです。 二十面相だけでなく、この漫画では色んな美形キャラが出てきては、 小林くんを狙うのですが、その正体にはいつも変なオチがついている、 というのがお約束な感じ。 しかし当の小林くんは飽くまでもどけち先生を慕い、 実は恋仲にまでなっている、という顛末です(笑)。ありえんっつーの。
贔屓目に見ても、どけち先生の魅力がまずわからない(笑)。 全然甲斐性じゃないし、自分の保身のためなら団員を犠牲にしても まったくかまわない!!ってタイプだし、しょっちゅう泣いてるし、 味方につこうという人にも殴りかかったり、食って掛かってるし、 どこがいいのじゃ?この男の。
(余談ですが、連載当初は、美形キャラは中川さんのほうが 担当していたようで、微妙にまつざきさんと絵柄が違うので、 すぐわかります。ファンなら。 やっぱまつざきさんが美形キャラも描くようになってからのほうが、 昔の絵柄を知ってる自分なんかからすると、ホッとしたなぁ・・・。 シュミマシェン・・・・m(__)m)
で、まぁ色々あって、そのうちいがわくんもチョコチョコ探偵事務所に 関わって、力になってくれるように。 初回では、団員は小林くんのほかに、カール、コシヒカリ、怨念、 ふれでえ、あけみちゃん(作者ご本人がモデル?)、 そして、なぜかサイボーグ009のジョーも「おかまのジョウ」として 居たのですが(笑)、初回の最後でなぜかジョーの姿は消えていて、 2回目からはもう団員としては登場しなくなります(笑)。 いがわくんもいつの間にかいなくなってました(笑)。
コシヒカリ、怨念、あけみちゃんの3人は「3頭身トリオ」として 時にのほほんと、時にスプラッタ的に活躍してくれます(笑)。 特に、あけみちゃんと怨念、そしてふれでえは、まつざきさんお得意の オカルト話や、ホラーシーンになると、いい味を出してくれます。 私はあまりオカルトに興味がないので、その手の話が出てきても 内容を覚えられないのですが、昔の外国の謎の未解決事件や、 狂気的殺人犯の話、果ては学校の七不思議まで、 怖〜い話はこれらのキャラにおまかせ、という感じで あちこち出てきます。
ちなみに、どけち・こるねいゆ探偵は、かつてはフランスの リセ・ブルゴーニュ・ギャルソンズの教師。聖職者。信じられん・・・。 そして、カールはそのときの教え子でした。
もっとちなみに、実はこの2人って、「なかよし」時代にまつざきさんが 描いたシリアス作品「リセアン」の登場人物なんですが(笑)。 時を経たら、ずいぶん変わっちゃったものだな〜、なんて一言では 片付けられない、何か引っかかる複雑な気持ち(笑)があります。 私も最初、気がつきませんでした。 あまりにもキャラ&ルックスが変わってて。 とにかくドタバタと話が進んでいくので、その辺はすっかりスルーして しまって、のちに読み返したときに「こるねいゆ・想い出のアルバム」 というコマが最初の方にあって、そこでやっと気がついたのでした(笑)。
「リセアン(←昭和50年「別冊なかよし」掲載)」ってのは フランスの寄宿制のとある名門国立高等中学校(男子校)を舞台に、 したたか学生ばかりが集まっている周囲になじめない、 優秀だけれど純粋な編入生の主人公・バレリイ少年が、 学校や教師(コルネイユ)に反発する不良のカールを見ていくうちに、 彼を身近に感じ、自分の道を考え選んでいく・・・という(長いな(汗))、 きちんとしたシリアス話だったはずなんですけど。。一応ね(笑)。
数年が経ってみたら、彼らは日本の下町のこんなところに(笑)。 ご自身の作品とはいえ、こんな形に変えてしまってよいのでしょうか(笑)。 カールって退学したんじゃなかったか?なんで再会してるのじゃ(笑)。 バレリィ少年が出てこなくてよかった(笑)。そこだけでもまだ夢を!
でも、総括すると、この「ぼくらは・・・」の中で一番マトモなのって、 カールなんですよね(笑)。 どけち探偵が、のちのち、火星の住人、セル・ロイド博士によって、 「いずれ地球が滅亡することに備えて、せめて1万人でも火星に 移住させる計画に、君たちが選ばれたのだ」なんて、 小難しい話をされたときも、 「では私たちは、ヤクルトされた人間なのか」と言うどけちに 「セレクトだろう、ばかが」とカールが呆れている手書きの書き込みが あったり(笑)。 かなりラストのほうで、「かぐつちの神」と名乗る美少年をあがめ始めた 小林くんに、その美少年の正体に気づき、教えてあげたのもカールです。
カール、いつもレオタード着てて変な男になっちゃってるけど、 いつも悪者のワナに引っかかってしまう小林くんに比べたら、 意外とマトモです。
ちなみに、団員の一人・ふれでえも、まつざきさんの「なかよし」時代の 傑作「こしゃくなムッシュー」に登場する、泥棒一味の一人に よく似ています。 あれはクィーンのメンバーをパロったんだったかな。 一味の名前は「キララ・クィーン」っていうグループ名でしたわ(笑)。
あれ?話がどんどんズレてるなぁ。 自分で読み返しても、何を書いてるのかわかんないや(汗)。
やっぱりこの作品、きれいにあらすじは書けないのですね(笑)。 それくらいあっちこっちに話が飛ぶし、ストーリー展開のほかに、 さまざまなパロディの登場人物や、懐かしすぎる話題、 何でそこでそんな話題に?という突拍子のない台詞回し&ギャグ、 そして作者ご本人も「こんなこと商業誌で書いちゃダメなんだっけ」 と余白に書き込みまくるほどの過激でアブない発言の数々・・・。
と、魅力満載でーす♪(と、ごまかしてみたりして)
そんなわけだし、困った私は、以下、特に面白かった部分などを ご紹介していこうという方針に変更。 かなり話が飛ぶので、皆さん、ついてこられないかもしれません(汗)。 がんばれ!(笑)では、レッツラゴー♪
とにかくびっしり書き込まれてるんで、たった2冊なのに(1冊のもあり)、 読むのに何時間もかかっちゃうこの「青年探偵団」なのですが、 今回読み直してみて、意外とハマってしまったセリフは 二十面相とノビ太のあいだに子供が出来てしまい(んなバカな(笑))、 二枚目なはずの二十面相が、頬を赤らめて言ったこれ↓。
「ああ、とうとう私も人の子の親になるのかどきどき。 名は男だったら春樹、女だったら真知子だなやっぱり・・・ いがいと私はミーハーだ」 ↑ 『君の名は』じゃ(笑)。なんかかわいいね、二十面相。
※ちなみに、この作品には、こんな、レトロな話題もいたるところに 出てくるのがポイントなのねん。
で、結局、というか当然というか、タダの男(ノビ太)の想像妊娠なので、 なぜか産婆として呼ばれた産馬=「あたり前田のクラッカー」のマスコット キャラの馬が、それを大焦りでごまかすために用意したのが、 これまたなぜか「モスラ」の卵。(←何でこんなのが転がって来るんだ(汗))
そして、「知らなかった・・・人間は卵でかえるのか(ワナワナ)」とおののく 二十面相の目の前で卵はかえり、結局その子(巨大イモ虫)の名は 春樹に・・・(^^;)。
そして、親子3人、つつましくも幸せな生活が始まるのでした。
しかしやがて、モスラの本当の母が登場。 二十面相は泣く泣く、巨大サイズのイモ虫の息子・春樹と別れるものの、 (↑この時、なぜか母親・ノビ太はメチャクチャ冷めてる(笑))、 夏になったら、春樹が虫のクセに、いっちょまえに、 育ての親・二十面相夫婦をインファント・ヘルスセンター(どこだそれ(笑)) に招待してくれて、コースターに乗って遊ぶ・・・という、 またまたワケわかめな展開が(汗)。 そして、「どうかね、キミたちは夏を楽しんでるかね」みたいな すごい自己中な暑中見舞いを、どけち探偵事務所に送りつけてきたり するのでした(笑)。
あと、この馬の前に、産婆としてまず二十面相は不二家のペコちゃんを さらってくるんですね。(最初にポコちゃんが不二家の令息として 登場して、そのGFとして、あとからペコちゃんも登場するのさ)
ところが、ペコちゃんは「さんば?できるわよ♪」と踊り出し、 実は産婆じゃなくて、サンバが得意って話で、(←しょーもねーなー笑) 二十面相は「話が違う!」と怒り狂って、 「サンバ違いだあほう・ぼけ・かす!!」と ペコちゃんをののしるんだけど、これに対するペコちゃんの、 「東京の下町っ子は、関西系の罵声には、すっごくあったまに きちゃうのよね〜〜」というセリフもウケた(笑)。 そうそう、そうなのよね〜〜〜〜〜〜!!わかるわ〜〜。
しかも、顔は相変わらずベロを出した笑顔のペコちゃんのままなの(笑)。 こういう、しょーもないところにも細かいこだわりを見せる、 まつざきワールドが好きでした(笑)。
あとこれ。 ポコちゃんが、小林くんに惚れている自分の恋人・ペコちゃんを見て、 「ペコちゃん!谷津の別荘に連れていってくれといったのは、 そのためだったのか!!」(このとき小林くんたちは海水浴に来ていた) 「ち、ちがうわ偶然よ!」 「うそだ!顔にそう書いてある!」 見ると、ペコちゃんの広〜いアゴに「小林くんが好き!♪」との大文字が。 「しのぶれど、ツラに出りけり我が恋は・・・あ、つい知性が・・・(赤面)」 などというシーンも、ペコちゃんのゲンキンな性格に笑った。
あと、ミル集団カラス(なんだそりは?^^;)の大群に追われたときも、 ペコちゃんは退治に大活躍するのですが、無力なポコちゃんにたいして 「(ポコちゃんを横目でにらみ)意気地なしはすっこんでなさいよ!」 とアッサリ冷たくいうシーンも、笑えました(笑)。 この言葉によって、ポコちゃんは怒りと焦りのあまり、 人間ドリルになるという不思議な力が芽生えて、カラスを退治。 また仲直りする二人なのでした。めでたしめでたし。
また、ふとしたときになぜか私の脳裏に浮かんでくるセリフ&シーンは これです(不二家の話はもう終わり)。
この当時、土星の様子を衛星放送で伝えたボイジャー1号が話題で、 「ボイジャー1号はいずれ役目を終えると永遠に宇宙をさまよい続ける 運命にある」ってことと、 「かつては華々しい経歴だったのに、いまや役立たずの自分」とが、 まさにかぶることを泣いて嘆く、 ここまで本当〜〜〜に活躍シーンのない、 存在意義ゼロ!!・・・のどけち探偵に対して、 小林くんが言ったセリフ↓。
「先生はボイジャー1号なんかじゃありません! 本当の勇気とは、困難なときにこそ必要なんです。 ボイジャー2号だって今度は8月に土星に着くじゃありませんか」
↑この吹き出しの横に、矢印つきで「意味があるようで実は全くない♭」 という作者さんの手書きの文字があるのが超ウケた(笑)。 ホントホント(笑)。 とりあえずボイジャー2号の情報だけはわかった、ってだけなの(笑)。 (そー言えばこの間ボイジャー1号の話題がニュースになってましたなぁ)
あとこれも。 前述の(かなり上までスクロールしないと見つからないだろうけど(笑))、 火星の住人セル・ロイド博士が、まだサラマンダー・ロイド博士と名乗り 長髪ウェーブで背の高い、美形キャラのころ (↑こーゆーナゾの登場人物の素性&事情は、あとでわかる(笑))、 地球滅亡&火星移住について、クールに語ったときのセリフ↓。
博士「(クールに)君達は、去年の木曜スペシャル『第三の選択』を
観なかったのか」 小林くん「第三の選択・・・(中略)密かに行なっている人類脱出計画。 でもまさかそんなばかな事・・・・・・」
この次が衝撃の、毒舌ゼリフッッ!!(笑)
博士「信じないのも無理はない。
テレビ朝日の水曜スペシャル、テレビ東京のミステリースペシャルと 肩を並べるインチキ番組、 矢追純一の木曜スペシャル だからな。
が、しかし。 木曜スペシャルは、何と偶然に本当の事を報道してしまったのだ」
↑ ちょ・・・こんなの書いて大丈夫だったのでしょうか?>インチキ矢追 でもズバリ書いてしまう、強気なまつざきさんが好きです(笑)。
これの何ページか前に、やっぱり余白に 「10チャンネルのばかやろー!いい加減に水曜スペシャルは やめちまえ。うちの親はまともに信じて真剣に見ているぞ。 いたいけな年寄りをだますな!・・・あ、商業誌でこーゆー事を云っては いけないんだ。」とか手書きで書いてあったりもするのだ(笑)。
マジメに読み進めていて、いきなりこーゆーキワドい毒舌セリフが 飛び出してくるから、「青年探偵団」はやめられません(笑)。
あちこちに、まつざきさんの、超能力&ミステリー系TV番組への 並々ならぬ愛憎を感じ取れるわけです(笑)。 (ちなみに、数年後に書かれた回では、矢追さんへの疑念は やわらいだような、見直したかのような余白の書き込みあり(笑))
あと、上に書いたように、登場時は美形だったサラマンダー博士。 ところが彼、正体は「日本興業銀行マスコットキャラクター」の キューピーちゃん人形、その名も「セル・ロイド博士」だったのです! ジャジャーーーン!!! すべては、子供たちに遊ばれて捨てられるだけのセルロイドや、 ブリキ素材のおもちゃたちの、人間への復讐劇?だったのですね。
この後、背の低い2頭身のキューピー(笑)に戻ったセル・ロイド博士は、 くだらない謀略を図って、青年探偵団員たちを洗脳してしまうのですが、 ただ一人、自分の策略に洗脳されなかった小林くんに対して、 いっそ脳を手術してしまおうと企てます。
が、そのとき、博士の元にちょうど「不幸の手紙」が。 「こ、これはっっ!!!『不幸の手紙』じゃないか!!! 手術どころではない!!早く返事を書かねば!!!!」 と、博士は、すぐさま小林くんに対する大事な洗脳手術をとりやめ、 大急ぎで知り合い5人への不幸のハガキを書く(くだらねー(笑))、 ・・・というコマがあり・・・。
そのハガキの1枚に「テレビ朝日の川口浩様」って書いてあるんだけど、 その住所はとてもじゃないけどここにも書けないわ(笑)、ってくらい 毒舌&強烈で、面白すぎる。 もう1枚、何気に「北天祐に勝てない千代の富士様」ってのもあって、 確かにこの当時、あのウルフ千代の富士って、なぜか北天祐にだけは 勝てなかったんだよね(笑)。 あはは、そうそう、そうだった〜〜〜、とここにも大ウケ!!
あと、やっぱり詳しく書けないけど、博士が、 「あと一人、知人がいない! ○○の○○○○の奴に出してやろう」と、雑誌『ぼくら』を見ながら ただの見知らぬ一般人に不幸のハガキ書いてるのもウケた。 それも必死に(笑)。
これと同じような感じで、あとから登場する「福助(足袋でおなじみの)」が 「二光カタログショップ係」って宛名で、 シークレット・インソール入り8.7センチヒールの『シークレットブーツ』を 月賦で購入しようとしてるのにもウケた(笑)。 「月々2600円」だって(笑)。ホントくだらねー(笑)。
もうやめて〜〜〜〜〜っっっ!!!と叫びたくなるほど、 読んでてお腹が痛いわけ(笑)。
これらのセリフやシーンって、この作品の中の数万分の1、って感じで、 もう、こんなヘンテコなセリフやシーンが満載なのです。 私の文章ではこの面白さが伝わらないのが悔しいっっ!!!
しかも文章で書くと全然笑えないんだけど(←これは私が悪い) どうして漫画だとここまで笑えるかっていうと、 福助にしても、セル・ロイド博士にしても ペコちゃんポコちゃんにしても、ハナマルキのミコちゃんにしても、 みんな表情があんまりないんですよね(笑)。 喜ぶのも怒るのも、みんなTVや広告でおなじみの、同じ顔のまま。 だからよけいに笑えたのです。 表情をまったく変えずに、不幸の手紙を必死で書きなぐっている博士、 とか。それでもなぜか真剣さの伝わる様子。大笑いしました。
まー、中でもこのセル・ロイド博士はどこまでもおかしくて、 登場場面としてはそんなに多くないのに、強烈な印象を与えるのです。 登場当初は、超〜カッコイイのに、口調が「でちゅまちゅ」みたいに、 舌っ足らずだったり(笑)。 すっ転ぶと「ベコッ!」って変な音がして、どけち探偵たちに 「何だ今の音。『ベコッ』だって・・・」と怪しまれたり。 ホンット、この博士の言動一つ一つに、涙が出るほど笑った(笑)。 ちなみにこの転倒事故のとき、TVでは「仮面の忍者赤影」が 放送されてる(笑)。
あと、キューピー人形になってからの博士が言うセリフに、いちいち 「くそお、大江戸捜査網みたいに一人一人セリフを喋りやがって」とか、 「よくもだまちたな。上越を名乗りながら上越市を通らない、 上越新幹線のようなヤツだ」とか、 何かしらのたとえが出てくるんですよね(笑)。
さらに、色々悪事がばれて、タイムパトロールたちに追いかけられて、 どう逃げ切るか困ったときには、 「まず、10円玉を貸せ!」と、部下のおもちゃたちに命令して、 紙を広げて「コックリさん」に聞いてみようとするのにも大笑いしました。 そんなことしている場合か(笑)。
しかも、「ダメだ!今日は答えたくないのだそうだ」だって(爆)。 真剣に。2頭身のキューピーが。 もういや(笑)。おなか痛いよ〜〜〜〜〜。
あ、あと、怨念のペンフレンド・大仏くんが奈良から東京に 遊びに来るエピも、笑いどころがあったなぁ。 彼は、小林くんによく似たクラスメイト・南原くん(←実は薬で変身した 悪者・福助博士。・・・えっ、そうか、福助もまた、博士だったっけか! よく読んだら「痔切福助」だそうな。でも福助って呼んでるけどね)に、 奈良の学校ではイジメられているのですが、とにかく頭がでかくて、 激怒すると、大仏くんの頭からは超能力パワーがあふれ出るのですね。
でも、彼へのイジメ計画も、美少年を絶滅させようとしている福助と、 赤ん坊少女タマミちゃんとの共謀策略で、 大仏くんは、ふたりに利用されていただけなのです。 それに気づいたとき、心の優しい大仏くんに、予知能力が芽生えます。 「1983年9月Xデー。関東地方を中心に、グローブ★な規模で 何か大変なことが起こるぞ!!」 青ざめる大仏くん・・・・。 ええ?!何々?! この「青年探偵団」に、かつてない(そうでもないか)大変な事件が 降りかかる?! てか、「グローブ」のところの、この「★」マークは何?!?!
・・・・・・と、マジに読んでいると、またもやこの余白に、 まつざきさんご本人の手書きで、こう書かれてるわけ。
「★本人は『グローバル』と言いたかった」
頼むから、もうやめて〜〜〜〜〜〜!!!!!死ぬ(爆)。
そしてこのあと、大仏くんはその超能力で、小林くんたちや地球全体を 救い、命が尽きたかと思いきや、超能力がなくなっただけで、 その代わりに頭も小さくなり、奈良へ戻ると、普通にGFができたりして 青春をエンジョイするのです。 その様子を手紙で知らせてきて、 「このあいだユネスコ村に行ったとき、GFの小百合ちゃんがバスの中で 吐いてしまいました。みんなはエンガチョエンガチョと言ってました。 ボクも酔ってしまって吐きたかったのですが、ガマンしてセンパアを 小百合ちゃんにあげました」などと、その昭和ムードな内容に またまた大爆笑する読者の私なわけですが、 「ボクは幸せです。だって恋しているんだもん」と、幸せそうな 大仏くんを温かく見守ろう、とかも思ったりしてしまうのでした。
まぁ、こんなふうに、この物語は何の脈絡もなく、日本興業銀行の キューピー人形やら、福助やら、赤ん坊少女タマミちゃんやら、 ベビースターラーメンのベビーちゃんやら、ハナマルキのミコちゃんやら、 マルコメ味噌のマルコメ坊や・マコくんやら、エースコックの豚王子やら、 北の湖のおしゃべり太陽(笑)やらが大いに登場しては、 物語を次から次へとひっかき回します。
でも、タマミちゃんはパロディ化されても、やはり怖いし(笑)、 なぜか登場してきた「土偶(エクトプラズマだけど)の神」もなんか怖いし、 エースコックの豚王子はどんどん性格悪そうになっちゃうし(笑)で、 話が進めば進むほど、どんどんワケがわからなくなり、 しまいに、なぜかどけちのご先祖様の日誌が出てきて、 とうとうみんなは安政5年にタイムスリップしたりもして、 かぐや姫(フォークグループではない)やら 今はなき「ひので号・きぼう号」なんかも無理やり関係してきて、 地球人の未来、自然破壊、資源不足への問題提起などなど、 えらく大々的なテーマへと移っていきます。 (当初の問題だった、二十面相を捕まえるのはどうした?!)
もうねぇ、これを20代後半から描かれたまつざきさんって、 ただただすごい!といえばいいのか、 とにかく超人的な好奇心と知識量で、感服いたしますです。
タマミちゃんといえば「かわいそうだけど健気」という感想を抱く人が 多いわけですが、この作品では復讐劇の途中で小林くんに惚れてしまい、 いきなり、恋占いの「あきすとぜねこ」なんか思いついてます。 これも・・・健気なのか?どっちかっつーと脱力・・・・。 「小林くんが私を好き?そんなバカな・・・・・」って(笑)。 何で都合よく小林くんの名前だけ「10」なんて数字がそろうんだよー(笑)。 ちなみにタマミは「5」なので、「ぜ」=絶交、になっちゃうわけね。 そっちのほうはどーでもいいんだ、タマミ(笑)。
個人的には、ラストのほうのかぐや姫の奇術師くんと、 エースコックの豚のおみおつけ王子・土井勝くんが 一番ルックスは好みだったなぁ。もちろん美形キャラのとき(笑)。 奇術師くんの瞳と髪型、勝くんのセーラー服がかわいいの。
この土井勝くんの最初の婚約者が、江上トミっていうんだけど、 (江上トミさんは実在した料理研究家。私は知らないんだけど、 母に聞いたら知ってて、「その子供も孫も料理研究家」だそうです(^^;)) 彼女はどう見ても、ベビースターラーメンの長年のマスコットだった 「ベビーちゃん」なのね。これまたなつかしや・・・。
まー、こいつがまた性格悪い上に、変なことばかり呟いてたり、 余白で作者さんからツッコミされまくってるのですよね(笑)。
「開発」と聞けば「貝歯津?」と言っては、また余白に 「トミは別名・あて字のトミと云った」とさりげなく書かれてたり、 勝くんをミコにとられたあとに、統領マンネンタケとかいう美青年と 婚約するんだけど、その式場選びのパンフを見ながら、余白に 「トミは互助会の会員だった」と小さく書かれてたり(笑)。
勝くんにふられて「覚えておいで。あんたの娘は16歳の誕生日の 夜までに、糸車の針に指を刺されて死ぬだろうよ」と言ったあとに、 また手書きで小さく、 「私は何ワケのわからないことを云ってるんだ。 ふられたショックのせいだろうか」とか、 「覚えておいでマク○ナルドめ。また犬の肉を使ってるというデマを 流してやるから」とか(←アブないなー(笑))、 「あぁ、アカシアの雨に打たれて、このまま死んでしまいたい」とか(笑)。 「(『結婚とマナー』って本の「初夜」の項目を読みながら) 昭和44年って、ずい分、うぶな時代なのね。
何で喜んで風呂に入っちゃいけないのかしら。・・・不思議。(鼻血)」 とか(笑)。
もっと笑える書き込みが炸裂しているのですが、私にはとてもとても、 タイピングをすることができません(笑)。 まつざきさんは完全にトミを遊びに使っている(笑)。
しかし、その前の文脈がわからないと、全然笑えないのよねぇ。困った。 私はこれだけでじゅうぶん内容を把握できるので(笑)、 上の文章を読み返しながらも、そのシーンを思い出して 大爆笑できるのですが(笑)。
・・・ってワケで、興味を持ったかたは、何とか入手して、 とにかく隅々まで読むことを、強く強く、オススメします(笑)。 特にこの江上トミ&セル・ロイド博士の細かすぎる呟きと、 作者さんからの手書きの突っ込みは、読み逃してはいけません。
とりあえず、こんなふうにして、この「ぼくらは青年探偵団」は、 あぁ〜昔の下町(に限らず東京の町全体)ってこうだったな〜という 懐かしいポスターや、駄菓子屋さんが出てきたり、 昔の薬の広告の笑える4コママンガみたいなのも所々使われたりして、 実にのどか〜な雰囲気をかもし出しつつ、 ラストが近づき、突如としてゴキブリ大会になったあと、 そんな原因を作った発端として、久しぶりに二十面相夫婦が登場。
ゴキブリを通して、文明の発達がいかに人間を堕落させるのか、 自然破壊するのか、果ては、核弾頭とは何なのか・・・などなど、 なんだか現代にも通じる、すごい深いテーマを掲げながらも、 超能力をも退ける、小林くんの地球への純粋な「愛」によって、 地球の最大の危機からは逃れることができた、ってオチ。
・・・って、オチも何も、そこまでのヤマはどこなのか?!ときかれると、 これまた困っちゃうのですが。
あー、でも、何と、この作品の中に、すでに「大地震がいずれ起きる」 ということが描かれているのには驚きですね〜、いま読むと。 さすが、インチキ科学番組を暴いていたまつざきさんだけのことは ありますね。
ラストのほうで久しぶりに登場してくる二十面相とノビ太夫婦。 何と、あのノビ太が、伊豆に群発地震が多発していることに気づいて、 大地震がくるんじゃないか、と、大変あせるのです。 え、あの冷めてる変わり者のノビ太が、そんなまともな事を?(笑) しかもこのとき、なぜか夫婦は相模湾の伊豆の沖の島に、 マイホームを建てて暮らしているのです(笑)。 その島こそが、大地震が起きる震源域のど真ん中よ!とノビ太は主張。
でもって、二十面相が、「地震は虹を見ればわかるのだ」などと、 地震の前兆に出る虹の濃淡で、地震の大きさがわかり、 出現した時間の長さで、地震が起きる時間もわかる、などというのです! で、その方角と距離は、分度器と三角定規を使った方法でわかる、 とか言ってるのです!!! 過去に起きた大地震の前に出た虹の状況と比較しながら。 私は実は地学&地理にも疎くて(^^;)、よくわからないのですが、 イセチケという東南風の吹く、晴天の日にだけ、大地震が起こる そうで・・・・・なんか、こんなマンガでこんな勉強ができるなんて、 ちょっとすごくない??? まぁ、すぐ忘れちゃうんだけどさ、地学には疎いから。とほほ(苦笑)。
さて、そんなこんなでバタバタ終わった「ぼくらは青年探偵団」。 ホントはもっと先まで、別雑誌で連載が続いていたようで、 オ○ム真○教をパロったシュールな話とかも出てくるようなのですが、 それは単行本にはなってないのかもしれません。読みたいな〜・・・。
ま、いずれどこか、古本屋さんで雑誌で続きを読まないとな〜って ところでしょうか。 ていうか、復刻版&新書版としてまた出して欲しいんですけど。 出版社側の事情があるのでしょうか。
全然関係ないですけど、私の姉が、ある日会社の上司か誰かから 「あたり前田のクラッカー」という言葉を初めて聞いてきて、 あのオヤジギャグには大ウケしたよ〜!・・・・というので、 あ〜そういえば「ぼくらは青年探偵団」に出てきた言葉だな〜と思って、 「あたり前田のクラッカー」「その手は桑名の焼きハマグリ」もあるよ、 と教えてあげたら、 「何それ〜〜!!」とキャーキャー笑ってました。 そんなに笑える??? ちょっと姉のツボがわからなかった私です。
とりあえず、この本に関する私の解説&感想は、 あまりにも偏っているかもしれません。 「ぼくらは青年探偵団」のツボは、人によって違うと思いますね。 BLが好きな人はまつざきさんお得意の耽美な絵柄でその世界を ちょっとだけ楽しめるし(ちょっとなのか?^^;)。 『ハロウィン』でまつざきさんファンになったという人は、 まつざきさんお得意の(こればっか)グロ&オカルト&ホラーもちょこちょこ 楽しめるし(「あの子がこわい」以外でワタシが唯一立ち読みした まつざきさんのオカルト作品「夏休みはもうこない」にも出てきた マリー・セレスト号事件とかね。夜読むと怖いのよ〜。)。
雑誌『ムー』『トワイライトゾーン』みたいな、超科学的ミステリーファンの 人にも、じゅうぶん満足できる世界です。←むしろこれが一番多いかも。
あと、たぶんその『月刊OUT』とやらを買っていたアニメファンにとっては、 途中で出てくるハーロック・ネタとか009ネタとか、 その他、私にはアニメやSFがよくわかんないですけど、
「(はっきり言って)平井和正>西崎義展」 「(はっきり言わなくても)大友克洋>松本零士」 「(だめおし!)幻魔大戦>ファイナルヤマト」
・・・・とか、この当時の風潮がわかる、こんなネタも大ウケでしょう(笑)。 ↑ (ちなみにこれは、この「ぼくらは青年探偵団」の中の、 「ファイナルヤマトの宇宙戦艦ゾンビ」VS「流星号」の闘いのシーンで 登場する、SFアニメ素人にはよくわかんないやり取り(苦笑)。 「私は金のためならムジュンもくだく、西崎大明神がついている」とか いうセリフもあったです(笑)。 で、でもっ、私はこれが何のことだか、知りませんのよっ!!(汗) だ、だってだって、幻魔大戦もファイナルヤマトも、観なかったからっ!!)
また、昭和レトロなんて言葉がブームになってますが、そのあたりが お好きな人は、まつざきさんお得意の(笑)懐かし広告とか 片岡千恵蔵の名前とか(笑)、きいちのぬりえなどの昔のおもちゃとか、 昔、小学校でよく流行ったくだらない、あ、違った、楽しい遊びとか、 細川智栄子さん作品のパロディとか、 「まぼろし探偵」「わたしのエル」などの懐かしキャラの話題も満載です。
ただ生まれも育ちも東京の私ではありますが、 「都民の日バッジ」だけは、買わされたこともなく、知らなかったなぁ・・・。 あとは単純に、理解不能なシニカルでシュールなギャグの連発に 耐えられる!!! ・・・・という人にも、もってこいの逸品・秀作・珍作です。
いや〜、それにしても・・・・・ ここまで「漫画」という仕事で遊べるまつざきさんのセンス!才能! そして、誰にもコビを売らない、肝の据わった強気な姿勢!!!! 賛美に値しますね。 (これを手塚治虫賞に推薦してくださった方、わかってる〜!)
途中、余白の手書きの書き込みに「イラスト集を出すんだけど、 漫画家はイラストでは喰えんのよ〜(安いから) またビンボー生活だ。映画行きたいー」とかも書いてありましたね。
でもそんな貧乏生活でも、こんな漫画を描けるなら、楽しい毎日だった のではないでしょうか。
それに、こういう破天荒な作品を描いても許されたのは、 やはりまつざきあけみさんご本人の、 遊び心&インテリジェンスが混在した摩訶不思議なお人柄、 昭和30年代という時代への、人一倍の熱意、 ご自身が読んだり見たりしてきた昔のマンガや小説、TVなどへの愛情、 そして、誰にも文句を言わせないほどの力量があったからだと思います。 きっと、だーれも描けないでしょうね、こういう作品って。
雑誌のほうでは、マンガ以外にも「美少年について語る座談会」 みたいなのにも参加されていたようです。 あいざき進也さんとか草川祐馬さんの名前も出ていて、 おおお、そのあたりなら私にもわかる世界!・・・ん?私って、 美少年好きだっけ???・・・とちょっと考えさせられるひと時なのでした。
それにしても、この作品、えらく1話が短いんだけど、これ目当てで 毎月「ALLAN」を買っていた人もきっといますよねぇ? なんでも、「青年探偵団ファン」のためだけの、 読者の投稿ページなんかもあったようですね。 すごいなぁ。。。みんな、ハマってたんだろうなぁ。。。 そんなのも単行本で出てたらいいのに。後期の青年探偵団とともに。
ちなみにこの作品、ご本人は一番気に入ってる作品なのだそうです。 まー、でも、やっぱり私が少女時代に読んだ、「なかよし」などの 作品群にも、なかなかの名作・傑作があるので、 そちらもぜひ、紹介したいと思っている次第です(^^;)。 もったいないモンね〜、あの頃の力作!! しばしお待ちください。
いや〜〜〜〜、しかし、いつ読んでもおなか痛くなるな〜〜〜これ。 腹筋が筋肉痛になってしまった(苦笑)。
抱腹絶倒、って言葉では足りないくらいの面白さ!!!
あ、まつざき先生、もしここのページを読んだら、マズイところは 言ってくださいね(苦笑)。 何しろブラッキーな世界だから、これ・・・。
(written at March−July,2012)
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