『伯爵令嬢』
    
         作者:細川智栄子
               
掲載「ひとみ」昭和54年4月号〜
                        
                                  

     これ・・・「ひとみ」連載作品なんですけど、まぁ有名すぎるので、
     内容はあえて詳しく書きませんが・・・

     私ね、もっとあとの作品だと思ってたんだよね。
     でも、昭和54年???
     ん〜・・・・
     というのも、私にしては珍しく、このころの「ひとみ」、読んでたんです
     のよ(笑)。
     もちろん自分じゃ買えなかったから、友達が買っていたのを
     読ませてもらってたんだけど。

     で、その時期を考えると、もう数年あとのような気がしてたんですね。

     でも、これが始まった頃の他の連載作品を見ますと、
     あしべゆうほさんの『テディ・ベア』、田中雅子さんの『虹色のトレース』
     ・・・・・・・
     間違いないな(笑)。読んでました。

     でもこの3作品以外、記憶になし!
     しらいし・あいさんの『わたしのあきらクン』も、あ〜そんなタイトル、
     聞いたことあるな〜程度です。すみません。

     で、何で今回『伯爵令嬢』なのじゃ?といいますと、
     これが私、何しろ友達に借りて毎月読んでたものだから、
     途中で読むのやめていて、正直、その先の展開がわからないままで、
     まぁいつか読むかもしれないしね〜・・・と、何年も経ってしまっていた
     わけです。

     で、こんなに年を経て、やっとあらすじが全部わかったので、
     なんか嬉しくって、こうして日記代わりに書いてみようと思ったわけです。

     ちなみに私が読んで覚えているのは、主人公のコリンヌという少女が、
     孤児院にいるんだけれど、どうやら伯爵家の令嬢かもしれない、
     という事がわかって、船でパリに向かうことに。
     あ、だからフランスが舞台ですね、これ。
     ・・・っていまさらいいか(笑)。

     その船の中で、黒髪にくせっ毛の、少しルックスの劣る万引き少女に
     出会うのですが、コリンヌはその彼女・アンナを見逃してくれるよう、
     船長さんにお願いするのです。

     ところがそのあとで、その船が転覆してしまい、アンナはコリンヌが
     死ねば、自分がすりかわって、伯爵令嬢になれる!・・・と、
     ともに助かろうとしていたコリンヌを、海へ突き放してしまいます。
     助けてもらっておいて、とんでもない悪女だな、アンナめっ!!

     そして、コリンヌは海の中で頭に怪我を負い、記憶喪失に。
     アンナはコリンヌは死んだと思い込み、喜びいさんで
     「伯爵令嬢・コリンヌ」として、パリの社交界デビューを狙うのです。

     ・・・と、私はここから数号で多分読まなくなったような気がします。
     もう少し先まで読んだかな?
     記憶にあるのは、そうそう、コリンヌは、彼女を愛する男性陣の
     ひとり・アランのフィアンセということになって、
     (本当は違うんだけど、アランも最初、かなり姑息でいやなヤツで、
     コリンヌが記憶喪失なのを利用して、もともと自分のフィアンセ
     だったのだ、という事にしてしまったのです。
     本当はコリンヌには、リシャールという盲目の恋人がいたんだけれど、
     アランも彼女の事を好きで、何とか自分の物にしたい・・・という、
     ちょっとドロドロ気味の三角関係があるのでした)、
     それで、アランと一緒に何かのパーティーに行くんだけれど、
     そこで「コリンヌ」に成りすましているアンナに出くわします。

     アンナは本物のコリンヌに会い、「あ!やべっ!!生きてたのか!!」
     みたいな感じで、下品な言葉遣いを出しながら退散するのですが、
     そのあたりで、読者の私などは「明らかにアンナの態度がおかしいんだ
     から、誰か気づかないわけー?」と、とってもせっかちなことを
     思った事を覚えています。

     でもって、コリンヌはアランのもとで記憶喪失になりつつも暮らすの
     だけど、このアランがまたけっこうツンデレな男で、最初はクールな
     プレイボーイ風に見えていたのですけど、なんかだんだん
     コリンヌに対するキャラが変わっていったんですよね(笑)。
     小さい女の子を叱るお父さんみたいな(笑)。
     お尻ペンペン!みたいな(笑)。
     それか、ちょっとサドみたいな(苦笑)。
     この辺がねぇ〜、ちょっと子供には気恥ずかしかったんですよね。
     今読むと全然たいしたことないんじゃないかと思うんですけど。

     しかも、コリンヌがめちゃくちゃおてんばで、好奇心旺盛なので、
     色んな事をしてはアランに怒られる・・・という、これまた不思議な恋愛が
     あったものだな〜と思いながら読んでいました(笑)。

     で、なぜかコリンヌがカメラに興味を持って、アランの新聞社の
     女性カメラマンとして目覚める・・・という、「はいからさんが通る」的な
     展開もあったりして、全体を通すとドロドロジトジトしたところもありつつ、
     コリンヌの可愛さがさわやかで、すごく魅力的な話でした。

     (全然記憶にないんだけど、どうやら「フランソワ」って悪徳男性キャラも
     いたのね。
     ホント、全っ然記憶にないよ(笑)。)

     で、私は、このあと、果たして、コリンヌは無事アンナと入れ替わることが
     出来たのか?!
     出来たとしたら、いつ?!私が読まなくなって、どのくらいあと???
     ・・・・ということが、とても気になっていたのでした。

     それがやっと最近全部わかって、いや〜、ホント、気持ちいいです。

     私の記憶にある話は、全体の1/5くらいまでの部分だったんです
     ね〜(笑)。
     私は長期連載というのがニガテで、早く結末が知りたいタイプで、
     「王家の紋章」みたいなのはヤダなぁ、と思っていたので、
     つい「伯爵令嬢」からは距離を置いてしまいました。
     もっと早く読んでればよかったなぁ。
     それでも12〜3巻まであるっつーんだから、長いわ(汗)。

     これ、すごく有名な作品だから、とっとと結末書いちゃいますけど、
     私、てっきり最後は、リシャールの目の手術も成功して(するんだけど)
     コリンヌの記憶も戻って(戻るんだけど)、
     「あぁ!!私たち、また会えたのね!!(抱きっっ!!!)」
     ・・・・・ってなるんだろうな〜、と連載当初は思っていた一人です(笑)。
     みんなもそう思ってたでしょ、最初は?

     でも、結局、アランとくっついたのですね。

     なんでそうなったのかな〜、とよくよく読むと、やっぱりコリンヌが
     記憶喪失になってからのアランとの関係と、
     一緒にいた時間の長さ、密度、その間のアンナがかかわる事件を
     思うと、もう内容が濃すぎて、これでアランと結ばれなかったら、
     コリンヌに尽くしてきたアランはなんだったんだ?!・・・って思うよねぇ、
     と、思ったの。

     つまり、リシャールの再登場が遅すぎた(笑)。

     面白いなぁと思うのは、アンナが、伯爵や夫人までをも殺してしまった
     超々、極悪女だということが途中でバレるんだけど、
     連載がそこで終わらなかった、ってこと。
     普通、この辺で終わるんじゃない?(笑)
     まだ先があるのかよっっ!!と、嬉しくなっちゃいました(笑)。

     え〜と、どのへんかな?
     あ、コリンヌが同じ孤児院にいた子供達の何人かと次々再会する
     んだけど、この子達が最後まで、またいい活躍してくれて、
     ある程度の年齢の人間たちだけのドラマに終わってないところも
     いいのですよね。

     でも、何か最後のほう、気球が出てこなかった?(笑)
     何じゃあれ。やっぱり「はいからさんが通る」みたいだなー(^^;)。
     どう考えても怪しいのに、乗り込んじゃうところが細川さんっぽい
     のですよね。

     とにかく、連載を第1回から読み始めた人間には、とうてい
     考えられなかった結末で終わった「伯爵令嬢」。
     はいからさんの青江冬星がかなえられなかった恋の結末を、
     アランがかなえてくれった、ってわけだね(←違うか)。

     子供の頃は、個人的に「伯爵令嬢」って響きに、不思議な気持ちが
     あったなぁ。
     あこがれる気持ちと、あの細川さんの絵柄だから、何か怖そう・・・って
     気持ちと(笑)。
     オカルトみたいな話になったらどうしよう?!って思いながら、
     毎月友達に「ひとみ」を借りてましたよ。

     でも、全然違うのね。

     ラストのプロポーズシーン・・・へぇ〜〜〜、こういうラストなの〜〜〜〜
     ・・・・と、すごく意外でした。
     アラン、いいヤツじゃん?・・・と、やっと心から気づく読者の私。
     心のどこかで、結末を疑い続けていた私がそこに(笑)。

     リシャールがなぁ・・・かわいそうだったけどねぇ。
     いかんせん、再登場が遅すぎた(笑)。
     これがいがらしゆみこさんとかだったら、もっと早くに再会できるん
     だろうなぁ。

     でも、プロポーズされたときのコリンヌは、どのシーンよりも、
     可愛いっっっ!!!
     やっぱさ、最後はあのアランが、あんな紳士的な態度に出る。
     まっ!!・・・なんて真っ赤になるコリンヌ。
     かーわいいーじゃない???

     こーゆーことなのですよね、結局。
     少女マンガの夢ってのはさ。こーゆーことなのよ。
     しかも、こーゆーのって、やっぱり「ひとみ」とか「プリンセス」とかじゃ
     ないと、出てこない作品なのよね〜〜〜〜〜〜〜。
     秋田書店の強みはそこか!!!

     ところで、私は同時期に連載されていた、あしべゆうほさんの
     「テディ・ベア」も、毎月楽しく読んでたんだけど、
     これ、未完なのよね・・・・・・。
     最終巻だけ買ってある(笑)。
     どう読んでも、アーロには隠された出生の秘密があったよね?
     思春期くらいになって、やっとそこらへんが明らかに!!!・・・・
     とか思っていたら、打ち切り・・・って・・・・何よーーーそれーーーー!?
     どう読んでも、来月号に続く感じで終わってるんだからさ、
     気になって気になって、しょうがないよ〜。
     私は「悪魔の花嫁」も何冊か持っていますが、別に特にあしべさんに
     詳しいわけじゃないので、この「テディ・ベア」が、実はどんな展開を
     迎える予定だったのかとか、そーゆーことはわからないわけ。
     とりあえず、アーロの髪の毛に、ひと巻きだけクルルン、という部分が
     あって、それがとにかくかわゆかった印象が強いです。
     遠い記憶だけど、あの髪の毛にも、何か秘密というか、キーワードが
     隠されていたような気がする・・・違ったかな・・・・。

     そうそう、その「テディ・ベア」の最終巻に同時収録されている
     お化けや妖怪、幽霊たちがが住み着いてるアパートの1室に
     暮らす、男子学生?か何かの話は、あしべさんにしては珍しくコメディで、
     面白かったな。
     (持ってるんだから読み返せー、自分!!←ってワケで読み返した。
     『あっち・こっち・どっち?』でした。「プリンセス」掲載だったのかー)

     また、最初に書いた、同じく同時期に連載されていた「虹色のトレース」。
     田中雅子さんの作品ですが、これも面白かったなぁ。
     ヒロインの高校生が、フィギュアスケートで世界へ!となるまでの
     話なんだけど、最初の頃、フィギュアの才能が芽生えてきた頃に、
     数学の授業か何かで、黒板に円の図形を描かされることになるの。
     ところが彼女は、どうやっても円を上手く描けない。
     あれあれあれ?・・・と、いびつな形しか描けない。
     それで教師から「お前は足では円が書けるのに、手ではダメなのか」
     とか何とか呆れられるシーンがあった記憶があります。
     ちゃんと読み返してないので、遠い記憶ですが。
     あまり当てにしないでね(笑)。
     でもそんなシーンがあったのは間違いないです。

     あれ?また話がいろんなほうへ飛んでしまった。
     でも、とにかく私は30年ぶり?くらいに「伯爵令嬢」の結末がわかって、
     ほんと、スッキリしたよっっっ!!!!!!
     怖い話じゃなくって良かった(笑)。

     ところで「王家の紋章」ってまだ続いてるそうで・・・。
     ファラオとか、エジプトとか、あんまりそっちの国のほうには興味のない
     私、しかも、長期連載もので結末を待てない私は、
     おそらく読むことはないんじゃないかと思うのですが(^^;)、
     無事、完結するといいですね。
     「悪魔の花嫁」も「ガラスの仮面」も、未完で終わらないことを
     祈るばかり・・・。

                          (written at Feb,2012)