雪村いづみさんのこと
いきなりなぜ?!というかたの話ですが、 先日、NHKの「思い出のメロディー」を見ていたら出演されて いたので・・・ちょっと書きたくなりました。
雪村さんといえば、美空ひばりさん、江利チエミさんとともに、 3人娘と呼ばれていた人ですね。 私はその時代にはまだ生まれていませんでしたので、 めったなことはいえません。 なので、そんな時代のお話はしません(笑)。
でも皆さん、雪村さんというと、どんなイメージがありますか? いえ、雪村さんに限らず、あれほどの大ベテラン歌手さんとも なると、それだけでイメージが限定されてしまうところがあります よね。
たとえば、私の中では、雪村さんというと、どことなく松山恵子さん に通じるイメージがありました。 松山恵子さんというと、我が家でも父がいつも「お恵ちゃんだ」 などと、友達でもないのに気安く呼んでいまして、 見ると、いつもウエストをコルセットで締めたような、オードリー・ ヘプバーンばりのお姫様衣装に身を包み、ハンケチ(笑)を 振りながら「逢いたいなぁ、あの人に」などと切々と歌いつつ、 スカートを思いっきりふんわり翻しているのでした。
こりゃーすごい、などと感心することしきりで、 松山さん同様、雪村さんも、いつもドレッシーな衣装に身を 包んでいる印象がありました。 そして、やはり大ベテラン歌手さんですから、身のこなしも それにふさわしい何か(?)があるんじゃないかしら・・・とか。
そんな折、去年でしたか、雪村さんご本人にお会いする機会が ありました。 私は「さぞかしドレッシーな装いで現れるんだろうな」と思い込んで いました。
普段着はどんな感じなんだろう?やっぱり芸能人らしく、 少し派手な色使いだったり、見たこともない豪華な刺繍や プリントものなのかしら? 髪型はどんなだろう? きっとたくさんジュエリー・アクセサリーもつけているんだろうな。。。
ところが、実際登場した普段着姿のご本人は、白いブラウスに 黒いスカートで、なんとも質素だったのです。 決して地味だったわけではありませんが、派手な感じでも ありませんでした。 さらにはそのスカートが、マキシスカートだったので、またなんとも いえない「品」を醸し出していました。
ありー?
テレビで見る通り、すらっと背が高く、、、 ・・・ですが、「テレビで見る通り」なのはそれだけでした。 あとは、服装もそんな感じでしたし、髪型は、少し長めの髪を おろして、右サイドだけ耳が見えるように少し上げて、普通のピンで 留めているだけ。
アクセサリーは?やっぱり大きなエメラルドの指輪とかつけている の???と目を凝らすと、 やはりなんにもないのです。 えー?えー??
そ、そんなバナナ(←・・・・(-_-;))と、さらに細かくチェックを はじめた私が次に目をつけたのは、指先でした。 そ、そっかぁ。きっとネイルには凝っているよねっ?! ネイルが派手だから、アクセサリーなんて必要ないんだよねっ っ?!?!
ところが、ネイルアートはおろか、地味なマニキュアすら つけていないのです。
つまるところ、ほんとーに質素なスタイルだったのです。
私はちょっと信じられなくて、しばらく見つめてしまいました。
あ、きっと性格は派手(?)かもしれないわ。 そんな思いを胸に、地味〜に自分の仕事を進めていたんですけど、 よく考えてみたら、いや考えなくても、大ベテラン。 下手なことをしたらとんでもない失礼にあたってしまうわっ、
ということにすばやく気づいた私は、とたんに緊張してきました。
ドキドキドキドキ・・・・
え。今度氷川きよしとジョイント?そうですかー。 ドキドキドキドキ・・・・ ↑ 耳に入ってない
あ。皆さん「トンコさん」と呼んでらっしゃるんですねー。 ドキドキドキドキ・・・・ ↑ 耳に入ってない
地味〜に、なるべく地味〜〜〜〜につつましくしていた私でしたが、 そのうち、雪村さんにお伝えしなくちゃいけないことが生じて、 走り書きをしてサササと急いでお渡ししました。 大したことのないメモ書きです。 すると、周りはざわざわ雑然としていたにも拘わらず、 シカトしてくださってもおかしくない状況なのにも拘わらず、 「どうもありがとう」と笑顔でお声をかけてくれるではないですか! ハッ。私なんかにそんな、恐縮です!と肩をすぼめるしか ありませんでした(笑)。
私はそのとき思ったのです。 こんな若い、海のものとも山のものとも分からない人間なぞにも、 きちんとお礼のお言葉をかけてくださるなんて、 これが大ベテランの本来あるべき姿なのかもしれないわー・・・と。 全然おごったところもないし、こういうかたの姿勢に触れて、 後輩も育っていくものなのよねー・・・と。←えらそう?
たかが「ありがとう」なんですけどね。 でもそれって、なかなか言えなかったりするじゃないですか。
雪村さんのそんな姿勢と、あの品のある質素なファッション、 相通じるものがありました。
なんだかちょっと怪しい文章になってしまいましたが(笑)、 あれだけの大ベテランのかたにお会いするとなれば、やはり いろいろ前印象(先入観?)を持ってしまうものですよね。 それが、モノの見事に全部払拭されてしまったわけなのでした。
それ以来、私の雪村さんに対するイメージは、かなり変わりました。 と同時に、「ベテラン」という言葉に対する印象も、 ちょっと変わったのでしたー。
どんなことにつけ、もしも「ベテラン」と呼ばれるようになるなら、 ああいう人になりたい、と思うのです。
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